(1) 離着陸時に特に注意すべき事項(回転翼航空機(マルチローター))
1) 離陸
回転翼航空機(マルチローター)はコントローラー等によるスロットル操作によって高速に回転する翼から発せられる揚力が重力を上回ることにより離陸する。
機体重量 1.5kg ほどの回転翼航空機(マルチローター)を例にすると、離陸直後から対地高度1m程度までの間は、回転翼から発せられる吹きおろしの気流が地面付近で滞留し、揚力が増す現象「地面効果」が起こりやすくなる。
2) ホバリング
離陸後、任意の対地高度で一定の高度と位置を継続的に維持することをホバリングという。
ホバリング状態の機体は回転翼から発せられる揚力と、重力のバランスが保たれている状態を維持している。
回転翼航空機(マルチローター)には飛行時に高い安定性を確保するために方位センサ、地磁気センサや GNSS 受信機、気圧センサが用いられている。
緊急時にはセンサ類に頼らない手動操作によるホバリングも要求される。
3) 降下
機体を降下させるには、スロットル操作を徐々に弱め揚力を減少させる。
機体を垂直降下させる時に、吹きおろした空気が再び吸い込まれ、回転翼の上下で空気の再循環が発生し急激に揚力を失う現象「ボルテックス・リング・ステート」が発生する。降下の際は水平方向の移動を合わせて操作することで墜落防止対策となる。
4) 着陸
降下を継続し着陸を行う際には、対地高度に応じて降下速度を減少させる。着地後にコントローラーでローターの回転を停止させる。
5) GNSS を使用しない操作
緊急時には GNSS 受信装置による機体位置推定機能を使用しない機体操作が求められる。
6) GNSS を使用しないホバリング
ホバリング中 GNSS 受信機能を無効にすると、機体周辺の気流の影響で水平位置が不安定となるためエレベーター操作及びエルロン操作により水平位置を安定させホバリング飛行を維持させる。
7) GNSS を使用しない着陸
上述の操作によりホバリングを安定させながら、スロットル操作により機体を降下させ着陸させる。
機体を垂直降下させる時に発生する「ボルテックス・リング・ステート」や、「地面効果」を抑制するために、細かくエレベーター又はエルロン操作などを行いながら、機体を着地させ着陸を完了させる。


